乗合船

釣り日記

乗合船とは

釣りをしたい人がお金を払って船に乗り、魚のいるところまで連れて行ってもらい、釣りを楽しむ。そんな乗合船という船があります。
釣りものによって、アジ釣り船、タイ釣り船、ウィリー五目船、メバル釣り船、イカ釣り船など、その種類も様々です。

知らない人同士が乗りあうので多少気を使いますが、そのため比較的安価で、釣り専用の立派な船に乗れるというメリットがあります。

この「知らない人同士が乗りあう」というデメリット。
乗ったことない人からしたら、相当なプレッシャーになるかと思います。

怖い人や変な人が隣だったらどうしよう、そんな人とおまつり(釣り糸同士が絡まること)になったらどうしよう、周りが爆釣の中、自分だけ釣れなかったらどうしよう……

しかも『比較的』安価というだけで、すごく安いわけでもなく、おかっぱり(船ではなく陸からの釣り)ばかりやっている人であれば、船用のタックルも持っていないし、なおさら尻込みすると思います。陸(おか)からイカばかり釣っていた私もそうでした。

この記事では、私が初めて乗合船に乗った時の経験を交え、乗合船とはどんな感じかを紹介したいと思います。

きっかけ

私が乗合船に乗ったきっかけは、妻からの半ば強引な提案でした。
妻は私以上の釣り初心者でしたが、私よりもいろいろ調べ、乗合船というものがあるらしい、どうやら大きい魚も釣れるらしい、と急に誘ってきました。
仕掛けも結べない妻の提案が本気かどうかわからず、私が尻込みしていると、妻は怒り出し「もういい一人で行く!」などと言い出したので、慌てて一緒に行くことになりました。

妻が見つけたのは「ウィリー五目船」のプラン。
今はタックルを持っていなくても、本数限定で道具一式を無料で貸してくれる船宿もあり、このプランもそうでした。
おまけに、クーラーボックスがなくても発泡スチロールプレゼント、仕掛けも売ります、釣り方も教えます、初心者歓迎!!という触れ込みでした。

イカ釣り専門だった私は、ウィリー五目の内容も釣り方も全く知りませんでしたが、教えてもらえるならまあいいか、と、とりあえず腹をくくりました。

出発~出船

集合が5時、出船が6時くらいでしたでしょうか。
当時はまだ早起きに慣れていなかったので、夫婦ともどもきつかったですね……。

4時半ごろに港に着くと、まだ開いていない門の前で、すでに数台の車が待っています。
私もその後ろに車で並び、少し待つと開門。
船宿ごとに場所が決まっている駐車場に車をとめ、受付へ向かいます。

受付とともに救命胴衣を受け取り、身に着けます。
妻はつけ方がわからず、受付の人(実は船長でした)に聞くと、じろりとにらまれ、「前で結ぶ!」の一言のみ。

「全然、初心者歓迎じゃないじゃん!!」
妻はこの船長の態度に対し、即時ぶんむくれておりました。

すべての船宿がこうではなく、優しい船長の船宿もあるのですが、荒い人もけっこう多い印象です。
なんだかんだ、海は危険が多いので、あまりすべてをゆっくり優しく、というわけにもいかないんでしょうね。

仕掛けとクーラーボックス用の発泡スチロールを受け取り、規定の乗船時間まで車で待機後、
いよいよ乗船です。

氷をタダでもらえるので、乗船前に発泡スチロールにしっかり詰めます。
船に乗ったら、空いている席へ座るのですが、どこがいいかなんて船釣り初心者にはわかりません。
二人で座れるところを見繕い、荷物を運びます。

そこに、スタッフらしきおじいさんが船に乗ってきて、貸しタックルを渡してくれました。
なかなか年季の入った、ずっしりと重い竿とリールでしたが、まあ無料貸し出しなのでしょうがない。
言われたとおりに竿立て用の穴に竿を立て、船が出るのを待ちます。
コマセがいっぱい盛られたザルも、さっきのおじいさんが持ってきてくれました。

お客さんも全員乗り込み、船と港を渡る乗り込み用の板が外され、船はゆっくりと進み始めます。

仲乗りさん

さっきのおじいさんはいわゆる仲乗りさんと呼ばれる乗組員で、私たちのような初心者への釣り方指導、おまつりしたときの解き役、タモ入れのサポートなど、お客さんの釣りの世話を一手に引き受けてくれる存在でした。

初心者は私たちだけだったようで、船が走っている間、ほぼ付きっ切りでテンビンやビシ、仕掛けのつけ方を教えてくれます。
釣り方は、釣り場についてから教えてくれるとのこと。

この人が非常にやさしく、妻はこの人をこっそり「仙人」と呼び、大変気に入ったようでした。
「私もう仙人だい好き」

釣り場につくと、船長が船内放送で「底から~~メートル、どうぞ」とつぶやきます。
これは海の底から~~メートルの場所に魚がいるよ、そこを狙って釣ってね、という意味です。

仙人が、仕掛けの説明・餌のつけ方・仕掛けの落とし方・着底後のしゃくり方など、ざっくりですが的確に教えてくれました。実際に仕掛けを落とし、お手本も見せてくれました。
お手本で釣れちゃったサンバソウもくれました。

一投しただけで魚が釣れる……!しかもいきなり3匹も!
船釣りすげえ!
今日は爆釣かもしれない!

膨らむ期待と希望を胸に、私たちは仕掛けを海に沈めていくのでした。

釣果

この時の釣果は、このようになりました。

上のサンバソウは仙人が釣ってくれたやつですね。
あとはチダイ?と微妙サイズのアジ。

クロダイ!私が釣りました!!

まさかのアマダイ……釣り初心者の妻が釣りました。
船でアマダイ釣ったのは妻のみ。わかりやすすぎるビギナーズラック。

今まで釣ったことのなかったサイズの魚を釣り、大興奮の私と妻でしたが、船長的には「今日は全く釣れない」だそうでした。

すごい日には、でっかいクーラーボックスがパンパンになるほど、青物やヒラメなどが釣れるそうです。
沖での釣り、おそるべし。

乗合船のメリット・デメリット

そんな感じで終わった初の乗合船ですが、ビビっていたいろいろな事柄が実際にはどうだったのかというと……

  • 怖い人や変な人が隣だったらどうしよう

妻の隣にいたのは、電動リールとバッテリーを持ち込んだソロアングラー。まったくこちらを意に介すことなく、無言で延々と釣りをしていました。
途中で一回、妻が彼とおまつりしてしまっていましたが、特に怒ったりすることもなく、仲乗りさんの指示に従っておまつりを解いてくれました。

そして私の隣には、なんとエギでおなじみのYAMASHITAの社員さんが……!
「私、結構有名なんですよ」と言っていましたが、私はエギングオンリーだったので、川上氏しか知らず……申し訳ないことをしました。
販促物なのか、YAMASHITAの仕掛けとクッションゴムをくれました。今でもありがたく使わせてもらっています。

見回してみても、怖い人やトラブルになってそうな人はいませんでした。
その後もいろんな乗合船に乗りましたが、大きなトラブルにあったことはありません。
むしろ釣りという同じ目的を有する仲間として、仲良くしてくれることのほうが多いですね。
釣っているときはひたすら釣りに夢中になるので、あまり隣の人が気になることもありません。

明らかに初心者、という方が隣になったとき、竿の扱いにイマイチ慣れておらず、こちらに竿先を向けることがあったくらいでしょうか。
「危ないので、こちらには向けないでくださいね」と優しく伝えたら、少しマシになりました。

  • おまつり(釣り糸同士が絡まること)になったらどうしよう

仲乗りさんが解いてくれます!
とはいえ、どうしようもないと判断されたときは「もう切っちゃうね!いい?」と言われることもありますが。
そんな時は仕掛けを補償してくれたりはしないので、自信がなければ仕掛けは多めに買っておきましょう。

  • 周りが爆釣の中、自分だけ釣れなかったらどうしよう……

教えを忠実に守って釣れば、自分だけ全く釣れない、ってことはほどんどありませんでした。
自分含めて全員ほとんど釣れずにお通夜状態、ということはありましたが、自然が相手なのでしょうがないですね……。
船宿の釣果情報はチェックしましょう!!

乗合船のメリットとしては、

  • 船長が魚のいるところに連れて行ってくれる!

陸では、あっちに投げてこっちに歩いて、魚を延々と探し続ける必要がありますが、乗合船では船長が魚探を使い、魚のいるところへ連れて行ってくれます。
私たちは釣るだけ!ラクチンです。

  • プランを選べば、釣りの用意をすべて任せられる!

タックルや仕掛け、コマセや食わせの餌など、釣りは用意が大変ですが、それらをすべて船宿に任せることができます。
準備が楽な釣りが好きでエギングをやっていましたが、そんな私も満足なラクチンさです。

  • 大きい魚を狙える!

陸ではどうしても狙える魚に限度があります。またどうしてもポイントの奪い合いになりがちですが、沖に出てしまえばそのようなことに頭を悩ませることがありません。
もちろん、的確なポイントで釣ることは必要ですが、そこは上述の通り、経験豊富な船長が私たちをいざなってくれます。多分。

船釣りにハマる

そんなわけで、イカにしか目がなかった私は、これを機に船での釣りにハマり、果ては1級船舶免許を取ってしまうのでした。

そんな話もまたいつか。

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